おしっこ

こんにちは。こんばんわ。青木です。

お久しぶりです。

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コロナウイルスで沢山の人が亡くなりましたね。

コロナウイルスで沢山の人の心が荒みましたね。

コロナウイルスで沢山の自由が消え、沢山の笑顔が消えましたね。

 

僕にはコロナウイルスを駆逐するだけの医療技術もなければ、政治家のケツを叩く権力もありません。

 

だけど、僕は少しだけ文章が書けます。微力ではありますが、少しでも誰かのためになれば、少しでも誰かのこれからを変えることができればと思い、文章を綴ることにしました。

これから綴る文章はあくまでも、ネットの情報を、僕の経験をもとに角を切り取って、丸くした情報です。人それぞれ個人差はあるので、一概に信じず、あくまでも参考程度に見ていただければ幸いです。

 

それではどうぞ↓

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突然ですが、皆さんはおしっこする時、隣に上司がいたら気まずくないですか?

 

女性の人は個室になるので、分かりづらいかもしれませんが男性陣ってノーガードで上司の横に立たなきゃいけない瞬間なんです。

 

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もちろん5つくらいオシッコする場所が有れば、間を開ければいいんです。一つ間に余白があるだけで、なぜか喋らなくてもいい風潮があるんです日本には。けど、僕の会社には2つしかトイレがないんです。日本なのに。

 

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会社のトイレって、高校の時みたいに仲いい奴らが集まってウェイウェイできる楽園じゃないんですよね。

多種多様、年齢層もバラバラで、少し喋ったことあるかなって人が続々と入ってくるから、おはようございますとかこんにちはとかを下手に口走ったりすると、その後ひたすらに自分の尿軌道を見つめる時間になるんですよ。

 

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かと言っておはようございますから、言の葉を紡ごうにも時間が短過ぎるんですよね。

同じタイミングで入れば話は簡単。だいたい同じタイミングで出るし、フィニッシュから手洗い、扉を出てからさよならまで割と時間があるので、会話が成り立ちます。

自分が先にいた場合も、難しくはありません。会話の尺の主導権を自分が握っているし、僕の場合は若さを武器に圧倒的尿圧ですぐにその場を去ることもできます。

 

厄介なのは、相手が先にいた時です。

隣に立った時、相手は今エピローグを語り始めたばかりなのか、それとも物語は終盤に差し掛かっていて後はピンピンっこれにてめでたしめでたしの状態なのか。

 

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僕はもう社会人になって9年が経ちます。

割と若い頃からこういう状況を乗り越えていく中で、相手の表情を目で見て、尿圧を耳で聞き、物語がどの場面まで差し掛かっているのかを判断する能力が身についてきて、そこに対してある種のプライドが備わってきました。

 

昔からコミュ力だけで人生を乗り切ってきた僕は、社会人になってからも小さな会話を大事にするようになりました。その積み重ねがいつか仕事に繋がってくんですよね。

 

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だから、この前トイレの扉を開けて、会社で1番偉い人がそこに立っていても僕は個室に逃げず、なんならチャンスと捉えて隣に立ちました。

 

社長は興味のない芳香剤の成分を真っ直ぐに見つめていて、会話のスターターピストルは僕の手元にあるなと一瞬で感じました。

 

しかし社長の尿圧はすでにエピソードを語り尽くし、すでにエンドロールが静かに流れている状態。長年の経験から導き出した僕の答えは

 

「お疲れさまです。今日は暑いですね。」でした。

 

社長は小さく頷き

「春だねー。」と呟きました。

 

完璧です。サービスエースでコースを狙い、相手が打ち返したボールは僕の狙い通り、僕の手元にしっかりと返ってきました。

僕は「そうですねー。」と適当に相槌をうち、これで物語は完結。後は社長のエンドロールピンピンで試合は終了です。

 

しかし、それから幾ばくかの時が流れても社長のエンドロールは終わりませんでした。

終わったかな…と思ったら、HUNTER×HUNTERキメラアント編メルエムとコムギの語り描写みたいなオシッコが続くんです。

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このパターンは初めてでした。

僕としては「おやすみなさいメルエム」って言ったのにメルエムずっと息してるんです。死んだと思ったら「コムギいるか?」ってまた声かけてくるんです。こちとら「はいはいいますともいますとも」をおしっこで伝えることしかできないですし、社長本体に「お前のメルエムまだ死なねえの?」って言える身分でもない。かと言っていつ死んでもおかしくないメルエムに「今週は天気良さそうですけど、社長はどこか行かれるんですか?」なんてノー天気な質問ぶつけてメルエムが先に逝かれたら気まずいし。

 

それからどれくらいの時間が経ったかは分かりません。恐らく時間にしたら数十秒、いやもっと短かったはずですが、僕にはそれが永遠(とわ)の時間に感じました。

 

そしてその日、結局僕はメルエムの音を置き去りにその場を離れました。齢28歳の春のことでした。

 

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結局何が言いたかったかと言うと、大人になればなるほど、おしっこをするにも大きな決断をするにも歯切れが悪くなるんだなぁということです。

 

                      

皆さん大変な時期ですが、コロナに気をつけて生きてください。あと暇ならHUNTER×HUNTER見てみてください。

 

大切な人とその大切な人の大切な人達のために。

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おわり。